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2006年1月 4日 (水)

『僕の妻はエイリアン』 泉流星

『僕の妻はエイリアン』 泉流星 2005/9 新潮社刊

 これを読んでいたのを見て、息子が、「また変わったもん読んで…」と感心していました。
サブタイトルが、『「高機能自閉症」との不思議な結婚生活』。
ええ、変わっているから面白そうだと思ったのでありますから。

 昔は、「自閉症」というと、自分の殻の中に閉じこもってしまうものだと勘違いしておりました。
だって、字面がそうじゃないですか。
でも、最近のドキュメント系のテレビ番組などで、そういうものではないということも次第に理解はしておりました。

 この本の帯には、いつくか「高機能自閉症」の症状と云うか特徴が紹介されていて。
「場の雰囲気や相手の気分を察することが出来ない」
「人の表情が読めない」
「決まった行動パターンに過度にこだわり、パターンが崩れるとパニックに陥る」
「相手の言葉を字義通りに受け取ってしまう」
などなど。

 以前、テレビで見た、ある自閉症の子供の特徴は、出かけた先では必ずトイレに入って、すべての便器で水を流さなければ気がすまない、というこだわりを見せていました。
こだわりはひとつふたつではなく、何にこだわりを持つかも人それぞれで、家族は手探りで対応方法を見つけて、その自閉症の人が過ごしやすい環境を何とか整えようと苦労されているようで。

 しかし、そういう自閉症の人たちがどう感じているのかはなかなか判らないものでした。
人とのコミュニケーションが取りにくいんだから、仕方ないんだけど。
相手も、自分の本当の感情が伝えられない、こちらも表面しか見えないから困惑するけ。

 この本は、成人後というか、結婚した後に受けた検査で、「アスペルガー症候群」と診断された人の旦那さんが書いたもの…という体裁で。
日常生活ががどれくらい微妙にズレているかを紹介されていました。

 自閉症と一口に云っても、昔の自閉症と云われて思いつくタイプから、普通に社会に対応している人まで様々で、「アスペルカー症候群」とは、その中間あたりに存在していて、知的障害がなくて言葉も良く使えるけど、自閉症独特の特徴を持っている、そうです。

 『変わりもの』『ずいぶん風変わりな人』『非常識な人』『身勝手』などと見られている人の中には、アスペルガー症候群を持っている人も多いのかなあ…。
この『異星人』と評されている奥さんだって、学校行って、会社勤めて、結婚して、三十代半ばにはじめて検査を受けた結果、やっと判ったんですから。
しかし、その検査を受けたきっかけだって、あまりにも周囲と違う自分に苦悩して、なんとか原因を探り当てたいと奥さん自身が努力してつきとめたんで、だんなさんでさえ、それが判るまでは、余りに身勝手な妻に対して辟易している様子で。

 『普通の人』には、『人の表情が読めない』とか『言葉を字義通りに受け取ってしまう』というのがどういうものなのか、ちょっと理解しがたいことだと思います。
ごく当たり前に、「言葉ではこういっているんだけど、きっと違うことを思っているはずだな」と顔つきや、声の調子などで察しているから、付き合いが円滑になっている。日本は特に「腹芸」というものを要求される社会だから、その力が欠け落ちている人には、本当に生きにくいんじゃないだろうかなあ…。

 表向きをそつなくとりつくろうことが難しい。
 明日が無事に来るという確証がないということを、いつも意識せずにはいられない。
 ご近所と無難な会話をするために、ワイドショーで情報を仕入れたり、バラエティで会話をはずませる為の研究をする。
 予想外のことが起こるとパニックになるので、予定をしつこく確認したがるけど、繰り返すのは相手がうんざりしてついには怒り出すということが感覚的に判っていない。
 
 などなと、この奥さんのちょっとしたズレ具合はあげていけば限りない様子だけど、成人後まで自閉症と判断できなかったのは、幼い頃からすごく努力して、自分なりの対処法を獲得していったので。
だんなさんとの、「なんできみはこういう行動をするんだ」「それはこういう理由からです」というディスカッションは、むしろ、奥さんのほうが筋が通っていたりする。
「私はこうなってしまうので、そうならないためにこうしている」といった感じで。
我々が、「なんとなく」「暗黙の了解」で当然としている事柄のあやふやさをつきつけてくれているようで。

 で、先ほど、「という体裁」と書いたのは、あとがきで、実は、奥さん本人が書いていた…ということが披露されているんです。

 相手の感情を推し量ることが出来ない人が、他人から見た自分の姿を書くというのは、それはそれはものすごい労力を必要としたのではないでしょうか。

 長年、『変わり者』として生活せざるを得なかったことから、うつという二次症状も持っていて。
 なのに、ネット社会と云う、自分の力を生かせる世界の中では、ものすごい活動をしていたり。

 自分を変えよう、社会に適応しようという努力は実を結ばなかっただろうけど、自分なりに楽に生きられる環境を手に入れようという努力を惜しまなかったから、結婚生活もなんとかおだやかになり(だんなさんの協力も必要ですが)、逆に自分たちがどう感じているのかを発信するまでになっている。すごいです。

 困った場合は、情報収集とアイデアで、これからも乗り越えていかれるのではないかと思います。

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コメント

びっくりです~。
著者ご本人にコメントいただけるとは。
はい、確かに堪能させていただきました。
「楽しんで」と云ってしまうと不謹慎かとも思いましたが、自分の知らない感覚を提示されるのは興味深いし、知らないことを知ることは基本的に楽しいことだと認識していますので…などと云うとまた、堅苦しくなりますが(笑)。
しかし、本を読んで興味を持って、その中でネットに関する記述もたくさんあったのに、そのサイトを探そうとしなかったあたり、自分の思考のベースは紙媒体なんだなあ…と感心してしまいました。今度、ゆっくり、サイトの方も拝見させていただきたいと思います~。

投稿: くわはら智美 | 2006年3月14日 (火) 12時42分

噂の?エイリアン妻&著者(本人)です。読んでいただきありがとうございます。そもそもWeb日記に連載していたのがもとで本になったので、(その過程でブログが大ブームになっていって)こうしてまたいろんな方のブログで取り上げていただけてとてもありがたいです。いたってマジメにコメントしていただきましたけど、読んでる間、楽しんでいただけましたでしょうか?やっぱ、人生楽しむことが一番ですから…

投稿: 異星人@地球 | 2006年3月12日 (日) 20時21分

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